上妻英夫(こうづまひでお)

経済ジャーナリスト 「ビジネスマン、経営者の応援歌」をテーマに新聞から専門誌まで幅広く執筆。効果的な販売戦略や販促策等、独自の視点、分析力から選び抜いた本物の情報だけを経営者に提示。全国の経営者から絶大な信頼と「社長の知恵袋」として活躍。書籍、電子書籍合わせて40冊を発行。

【リピートの極意】シリーズ 1

▼繰り返しの注文が活性化する

「リピートは魔法の経営手法」「ビジネスはリピートの仕掛けがあれば繁盛する」「繰り返しの注文があれば活性化できる」ーー経営書「リピート倍増実例集」(日本経営合理化協会刊)と「リピートの法則」(マネジメント社刊)の著者として、従来の経営手法では通じなくなっている今、『リピートの極意』を再び提案したいと考えている。

 現場の知恵を駆使した経営戦略が脚光を浴び、注目する経営者が増えているということを実感している。SNS販促も急増する中で、「リピートの極意」を提案することは、経営の現場の指揮を執る経営者から数度となく、要望があり、それに答えるためにも最前線で仕事をする経営者(経営幹部)と社員をターゲットにした、リピート仕掛け術を提案したいと考えている。

 

「継続は力なり」という経営の鉄則があり、事業の成長に欠かすことができない条件の一つが、「顧客の連続した注文」、つまり、顧客が繰り返し注文を続ける仕組みである。これを実現した企業のみが潤うのである。

 商売の活性化を狙うなら、「顧客」の捉え方から始まり、関わり方の見直しを再検討しなければならない。満足度の上げるサービス、売れる商品提供ができれば、繰り返し商売を続けることができる。

「ビジネス(商売)はリピートだ」と叫びたい心境である。長年、現場最前線で経営者や経営幹部、優秀な社員とあって、「モノが売れない」「人が集まらない」という成熟市場に風穴を開ける手法を探し求めている。結論は一つ、「顧客の顔が見えているか」という問いに対して、「OK]の合図を出せる企業には繁盛への道が保証されているといっても過言ではない。

 どんなに価値観が変わっても、多様化する消費者が進んでも、日々変化する顧客の顔が見えていれば、大丈夫だ、と確信している。成長している企業の最大の条件は、「素早く学び、素早く変わる」経営感覚を持っているということだ。平たい言葉で言うと、「ごちゃごちゃ言ってないで、さっさと行動に移す」という敏感な行動重視の経営をとっている。だから、経営者自身が「知識人よりも知恵人になる」ことが求められているのが昨今である。

 企業競争に勝っている会社は、「行動重視」「スピード重視」「現場重視」という重要なキーワードを駆使した戦略を持つ。経営者自らが「知恵ある問題解決型の人」を目指してもらいたいものだ。経営者こそ知恵者であり、アイデアマンであり続けることである。「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」という極意を知り、実践的に出せるようになることである。

 現場最前線では「知恵を出せ」「アイデアを出せ」と叫んでいるが、厳密には知恵とアイデアは違ったものである。私の独断と偏見で言わせていただくと、知恵とはアイデアや思いつきからスタートして、具体的な実践を経て、その会社にとってプラス効果を上げたときに、“知恵があった”と呼ぶことができるのである。

 戦略であれ、販促策であれ、生命線は「知恵、アイデアに尽きる」のである。だから、頭を使った商売の時代になったといわれている。考えて、考えて、考え抜いて出された現場の知恵を元に、やり方を生み出していくことである。実はリピート仕掛け術も、この現場の知恵そのものである。

 

▼顧客創造こそ「リピートの仕掛け術」の真髄

 リピートの仕掛け術の法則、ルールはあるか。一言で「リピートの仕掛け術はこれだ」と限定できるものはない。しかし、リピートは現場の知恵そのものである。「知恵は生もの」という考え方をすれば。臨機応変のその場所、その時にマッチした方法を創造していくことこそ、繰り返しの注文を実現するルールといっていいだろう。したがって、どうすれば繰り返しの受注が可能になるか、顧客との接点で生み出されたやり方こそ、「リピート仕掛け術」であり、黄金律と捉えたい。

 市場が成熟し、競争が激しくなった経営環境の中で、すべての商売が売り手市場から買い手市場に移ってきているからだ。まず、「顧客」を見直すことが大きく商売を変え始める動きの一つである。「顧客第一」「顧客満足」の言葉が企業間で叫ばれているが、本当に徹底し、実践している企業がどれほどあるかが問題である。「言うは易く行うは難し」の諺通り、言うだけ、掲げるだけなら、どこの経営者でもできるが、それを現場に徹底して実行することは容易ではない。だから「顧客の顔が見えていますか」と問いたいのである。

 次に、「ビジネスは顧客を創り続ける作業である」「商売はリピートが決め手」と実感を持って語ることのできる経営者は少ない。経営者の多くが、「仕事とは創意・工夫の飽くなき挑戦である」という言葉を深く理解する時代に突入している。この顧客創造こそ、「リピートの仕掛け術」の真髄であり、考え方である。リピート受注という繰り返しの注文こそ、商売を活性化させる最高の策である、と確信をもって言い切りたい。

 また、安定経営とはどういうものか。どういう状態が安定経営と呼べるものだろうか。経営の安定とは、自社の商品やサービスが同じ顧客に3年、5年、10年、それ以上に繰り返し、購入、利用してもらえる状態をである。そのために、企業独自のあの手この手の戦略、戦術、方法がある。顧客を創造して囲い込み、維持させる企業努力を続けていくことがリピート仕掛け術の発想である。

 「持続は力なり」「継続は力なり」この二つの格言は経営者にとって、名言であり、成功指針である。

 

▼「聞く」から始まる攻めの商売

 顧客の囲い込みはリピート受注の仕組みである。時代にマッチした“新型のご用聞き”も効率のいい経営手法である。ご用聞きは得意先などに注文を聞きに回ることであり、その人のことを指しているが、昔ながらの酒販店にあったご用聞きと違って、電話やファックス、インターネット、スマホで注文を受けて届けるサービスをしながら新しい提案するなど、新型ご用聞きが登場している。ご用聞きの営業スタイルが、「売りに行く」のではなく、「聞きに行く」という形態に代わりつるある。

 顧客は売り込まれるのを嫌うので、顧客が興味をしました時だけ、何か聞きたいと思ったとき、商品を欲しいと思ったとき、そのタイミングのご用聞きはありがたいと感じるものだ。顧客を待ち構えているビジネスモデルは限界に近く、攻めていくというご用聞きの巧拙が生き残りを左右する時代に入っているのである。「困っていることはありませんか」「欲しい商品はどれですか」「お手伝いすることはありませんか」など、「聞く」ことに徹するスタイルである。

 顧客とのコミュニケーション=ご用聞きといっても過言ではない。店のレベルで言えば、「顧客の囲い込み」の有効な手段がご用聞きである。無人販売が増えている一方、また、機械的な販売も増えている。ご用聞きに含まれている「人間らしさ、人間臭さ」のハイタッチの要素がご用聞きには含まれている。

 ある酒販店の店主は「まずお客さんに会うこと。困っていること、望んでいることを感じ取りながら、少しでも解決策を携えてこまめに接触すれば商売は上手くいきやすい」と言い切る。顧客の言葉にならない声を聞き届けるご用聞きと、その声に応えて商品を開発し、提供する企業こそ消費者に支持されるのである。

 過当競争の生き残っていくためには、顧客から必死に「聞く」ということを大事にしながら商売することである。新型ご用聞きこそ顧客の身になって購買を支持するサービスを生み出す営業スタイルといっていい。買っていただき時代の新型ご用聞きこそ注目を集める商売の仕方である。顧客にすり寄っていく、攻めの営業形態が繰り返しの注文を推進していくことになる。

 

 

▽【リピート客づくりの10のチェックポイント】

 多様化する顧客スタイル。顧客づくりは「十人十色」といわれるように、子役の対応も様々な仕方がある。言いければ、「打つ手は無限」である。現場の知恵は無数である。現場の知恵として生み出されたリピート客づくりの10のチェックポイントを挙げてみた。

①顧客に優越感を提供できているか

 顧客になった段階で、次のステップに上がる際に

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